雪が積もった静寂の中、湯けむりがゆっくりと空へ溶けていく。そんな景色に出会いたくて、毎年冬になると東北や北陸へ足を運んでしまう。日帰りで行けるにもかかわらず、その体験は一泊旅行にも引けをとらない豊かさがある。
1. 乳頭温泉郷 鶴の湯(秋田)
東北を代表する秘湯のひとつ。白濁した硫黄泉と、豪雪地帯ならではの雪景色の組み合わせは圧巻だ。日帰り入浴は午前10時から午後3時まで。混浴露天風呂は乳白色のお湯が目隠しとなり、はじめての方も安心して楽しめる。
「湯が白いから見えない。でも、それがいい」——常連客の言葉
2. 蔵王温泉 大露天風呂(山形)
強酸性の硫黄泉で知られる蔵王。冬季は積雪のため大露天風呂は閉鎖されるが、周辺の日帰り施設は通年営業。むしろ冬の蔵王は空いていて、硫黄の香りをひとり占めできる贅沢がある。スキーの後の一湯としても最高だ。
3. 白布温泉 東屋(山形)
米沢市郊外、白布の山中に静かにたたずむ老舗温泉。かやぶき屋根と豪雪のコントラストが絵になる。硫黄泉の成分が濃く、肌にしっとりとした感触が残る。日帰り入浴500円という良心的な価格も嬉しい。
北陸からも一軒
今年は石川県の粟津温泉にも立ち寄った。北陸の冬特有の重たい雪雲の下、ほの暗い浴室で静かに過ごす時間は、旅の疲れをすっかり溶かしてくれた。温泉地としての歴史は1300年以上。その積み重ねが空気にも宿っているようだった。
雪見露天風呂は、冬の短い期間だけ現れる特別な舞台だ。来シーズンも、また新しい湯を探しに出かけたい。