「温泉に行きたいけど、泉質の違いがよくわからない」——そんな声をよく耳にする。確かに、硫黄泉・塩化物泉・炭酸水素塩泉・酸性泉……と並べられても、初めてでは何が何やら。でも少しだけ知識をつけると、温泉選びがぐっと楽しくなる。

硫黄泉:独特の香りと白濁が目印

温泉の代名詞ともいえる硫黄泉。卵が腐ったような独特の香りと、乳白色〜透明のお湯が特徴だ。殺菌作用が高く、慢性皮膚病や糖尿病への効能が知られる。東北・北陸・北海道に多い。乳頭温泉郷や蔵王温泉が有名。

塩化物泉:「熱の湯」と呼ばれる保温力

食塩を主成分とするお湯。入浴後に塩分の膜が肌を包み、体温が逃げにくい。冬に特におすすめで、「熱の湯」とも呼ばれる。海沿いや平野部に多く、有馬温泉の「金の湯」が代表格。

炭酸水素塩泉:「美人の湯」の代表格

重曹成分が肌の角質を柔らかくし、つるつる感が得られることから「美人の湯」と呼ばれる。下呂温泉(岐阜)や有馬温泉の「銀の湯」がこのタイプ。さっぱりとした浴感が特徴で、夏でも気持ちよく入れる。

酸性泉:殺菌力が強く、湯治の歴史も長い

pH3未満の強酸性泉は日本独特の泉質のひとつ。草津温泉(群馬)の「時間湯」や蔵王が知られる。殺菌力が非常に高い反面、肌への刺激も強いため、長湯や傷口への注意が必要。

迷ったら「単純温泉」から。刺激が少なく、はじめての方でも入りやすい。

単純温泉:万人向けの穏やかな湯

特定の成分が基準値に達していない温泉を単純温泉という。「薄い」ではなく「刺激が少ない」という意味であり、子どもや肌の弱い方にも向く。箱根や城崎温泉に多い。

泉質を覚えたら、次は実際に体で確かめるだけ。理屈より、湯船に浸かった瞬間に「いい湯だな」と感じることの方が、ずっと大切かもしれない。